コラム もっと知るSLA 先輩×学問

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宇宙論を追いかけて、東北大に来た先輩の話。

2016/01/05

today's SENPAI

相澤 紗絵

あいざわ さえ

理学研究科 地球物理学専攻
博士課程前期2年(専門:超高層大気物理学)
SLA物理担当(2015~)

2015年の前期からSLAとして活動し始めた相澤さん。学部時代は他大学で過ごした経験を持つ彼女に、学部時代の事、今の研究テーマの事、そして今まさに活動中の現役SLAとしての感想を聞いてみました。「先輩×学問」コラム第2号☆どうぞお楽しみください(^^)/

以下、先輩のSLAへの感想を紹介しています

まずは1・2年次の話から。

Q1 大学に入った当初は、どんな感じでしたか?

私は大学院から東北大に来たのですが、学部時代はX大の夜間学部に通っていました。諸事情があって夜間学部に通うことに決めたのですが、入学した当初のオリエンテーリングで先生たちからX大は留年率が高いということを聞き、なんとかして4年で卒業せねばということばかり考えていました。夜間学部というのは様々な人が様々な事情と目的を持って入学してくるので、当初から学生同士で「なぜ夜間学部に入ったのか」という話ばかりしていた記憶があります。ちなみに友達の目的は「教師になるため」で、私の目的は「大学院にいくため」でした。

Q2 どういう勉強をしたの?

当初私は宇宙論に興味があり、X大で宇宙論を扱う研究室は1つでした。X大の夜間学部は全員が全員研究室配属できるわけではないというルールがあったので、行きたいところへ入るために普段の授業を良い成績でパスするということを心がけていました。
ただ、宇宙論に興味はありましたが、授業以外に自分で何かを調べたりということは特にしませんでした。

Q3 どんな授業が面白かった?

宇宙論がやりたかったので、相対論の授業は面白かった記憶があります。
興味以外では、量子力学と、物理化学が面白いと感じました。特に物理化学はノーマークで、高校の時は化学はそこまで好きではなかったのですが、授業をとってよかったなと思いました。よく大学に入ると、「数学は哲学的になり、物理学は数学的になり、化学は物理学的になる」という言葉を聞きますが、それを実感した授業でした。

―学部時代は東北大学ではなかった相澤さん。夜間学部を経験したということも、また経験値を豊かにしていそうですね。ノーマークだった物理化学が面白かったのいうのがまた興味深いです。意外と高校と大学では、授業名からイメージする内容が異なっていたりもするので、こういう新たな発見もあったりします。
 それでは次は、現在の研究の話です。

Q4 今の研究テーマはどんなもの?

X大時代に結局入りたかった研究室に入ることができ、1年間宇宙論について学んだものの「もう少し近い宇宙がやりたいなあ」と思い東北大学の今の研究室に移籍してきました。

今の研究テーマは「火星からの大気の散逸」を数値シミュレーションで明らかにしていくというものです。過去の火星は、現在の地球のように厚い大気を持ち、温暖で湿潤であったと言われています。しかし、火星は時間の経過とともにその大気を失ってしまったがゆえに現在見るような赤茶色の星になってしまったと考えられています。大気が外へ逃げて行ってしまったということです。では、どうやって大気が外へ逃げていくのか?

そのプロセスは、隕石の衝突によるもの、火星に全球的な固有磁場がないために太陽風が直接吹き付けるという火星環境によるもの、そして火星の大気中で粒子が脱出速度を超えるという分子運動によるもの、の3つに大別されます。私はこのうち2番目の火星環境によるものに着目していて、特にKelvin-Helmholtz(ケルビン-ヘルムホルツ)不安定というプロセスにフォーカスして、火星から大気がどれくらい散逸しうるか、を見積もっています。

Q5 どういうきっかけでそのテーマに?

研究室に入った当初は、特にこの惑星のこの現象がやりたい等の希望はなかった(その希望を持ちうるだけの前提知識が一切なかった)ので、世界的にトレンドが来ている火星、そして研究室内の関連性も鑑みて今のテーマに決定しました。

Q6 では、今の研究テーマはどんなところが面白いですか?

私の注目している惑星規模のKelvin-Helmholtz不安定というのは、実は地球ではすでに観測事例のあるものなのですが、火星では未だ観測に至っていません。そのため、その不安定が起きた時にどれくらい大気が逃げていくか?という理論的見積もりだけが先行している状態でした。これまでの見積もりやシミュレーションの結果から、現在の散逸量の半分くらいの量が、このプロセスで逃げるだろうと考えられていたのですが、現在の火星の状態を実際に模擬してみると「あれ?そんなに大気を逃すことができないのでは??」という結果が得られたのです。こういう新しい発見、そしてそれを説明できる物理的メカニズムはこうじゃないのか、と議論して研究が進んで行くところがとても面白いと思っています。

ちょうど火星探査機が火星を周回しているので、「シミュレーションと観測の整合性」がどうなのか、を議論しやすいのも面白いところの一つで、わりあい整合性が良さそうな値が出ると、自分のシミュレーションの結果や解析が正しそうだ、となるのでとても嬉しいです。

―なかなか難しい用語も飛び出してきていますが、いかがでしょうか?火星の話題に興味のある人にはワクワクする話かと思います!が、そうでない人に向けて、少し余談を…。
相澤さんの上の文章は、かなりコンパクトに研究テーマをまとめてくれていてわかりやすいものです。なんで分かりやすいかというと、「大きな興味」から「研究テーマ」として焦点を絞っていっている感じがよく分かることと、その「研究テーマ」について、何は明らかになっていて、何はまだ未解決なのかが解説されていることです。これから「研究」の道に進んでいく皆さん。自分が数年後、どんな風に「研究テーマ」を語っているかも想像しながら、読んでみてもらえると嬉しいです!
 さて、それでは次は、「SLA」としての相澤さんに焦点をあててみましょう。

Q7 SLAはどういうきっかけで始めたんですか?

隣の研究室の先輩に誘われたのがそもそものきっかけでした。先輩曰く、「頭の良し悪しというよりも学生のことを考えて一緒に考えてあげられる人にやって欲しい」ということで私が学部時代に塾講師を経験していたこともあり誘われたという経緯でした。
まあ、誘われたし純粋な物理学に触れられて研究の息抜きにもなるしやってみようかなというわりと安直な考えで始めました(笑)

Q8 実際に活動してみて、どう?

まず、SLAが多種多様な人で形成されていてとても面白いです。それぞれが専門を持っていて、それぞれが自分の研究を好きで…そういう人と接することができたのがまず一つ、活動してみてよかったと思うことです。
同時に自分の力の足りなさを実感しますが。。。
学生との対応では、自分にとっては懐かしい純粋な物理学、に触れる良い機会になっていると思います。
質問にくる学生も、質問の難易度も多種多様で時には難しい質問に頭を悩ませたりもしますが、とても良い刺激になっています。

Q9 活動する上では、どんなことを大事にしている?

基本的なことですが、相手を否定しないことと、一緒に考えてもらうことを心がけています。講義のようにこちらが一方的に知識を授けるというのはSLAの仕事ではないので、一緒に考えることで学生にも自分でやったという達成感を少しでも味わって欲しいなと思っています。 

Q10 活動する中で、利用学生さんに関して思うこと、気づいたことはある?

様々なタイプの質問があるので一概には言えませんが…
対応をしていると、あと一歩で自分で解決できたなあ(計算ミス含め)と思う学生が結構います。SLAに来て一緒に考えたときに「あ、そんな簡単なことだったのか」と思うことがあれば、きっとそれは次やるときに自分で解決できると思います。勉強というのは慣れの部分もあると思うので、「問題解けたから解決!」で終わるのではなく、「自分でできたところはどこか」など内容を振り返る癖をつけると良いと思います。
それから、テスト前や授業前に焦ってくると混んで待つはめになる挙句、早く対応を終了してしまうので、前もってきちんと計画立てて勉強しましょう。

Q11 それでは最後に、SLAとして1・2年生にメッセージを!

私がX大にいた頃は、SLAのようなタイプの学生が学習を相談に行ける場所、はなかったと思います(履修相談などはありましたが)。とても良い制度だと思いますし、せっかくなので、学習の選択肢としてどんどん利用するのをお勧めします。
しかしSLAは塾とは違って教える場ではないので、考えることを放棄せず、「せっかくだから授業をしっかりモノにしよう」という意気でうまく「利用」できるようになると良いと思います。 

―1年目にして、なかなかしっかりしたSLA観を持ってくれている相澤さん。相澤さんを紹介してくれた先輩SLAから、マインドがしっかり引き継がれているなぁと私たちとしてもありがたく思いました。
Q10の話が利用学生の皆さんにはなかなか大事なことかもしれません。ぜひ参考にして、SLAを上手に活用してくださいね!
 相澤さん、ありがとうございました(^^)/