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rank(階数)のお話 Part 2
はじめに
ここでは「rank(階数)のお話 Part 1」で述べた階数の定義その一, 二, 三の同値性を調べていくことにします. 四, 五についてはPart3で述べる予定です.
定理とその証明
定理1. 階数の定義その一と二は同値である.
証明. 行
列 の行列
と
について
よって
は
によって生成されている. このことから
は
のうち一次独立なベクトルの組の最大の個数であることがわかる. (証明終わり)
定理2. 次の主張は同値. すなわち, 階数の定義その二と三は同値である:
の列ベクトルの中に
個の一次独立なベクトルが存在して
個以上の一次独立なベクトルが存在しない.
の
次小行列式の中に
でないなものがあって
以上の小行列式は全て
ということがなりたつ.
証明. 以下の補題3からわかる. (証明終わり)
補題3. 行
列 の行列
に対して次は同値:
個の
次の縦ベクトル
が一次独立.
- 行列
を
と行ベクトル表示したとき,
個の番号
をとれば
とできる. これは行列
の
次小行列式になっていることに注意.
証明. が一次独立とする.
を
番目の基本ベクトルとする.すなわち,
という縦ベクトルとする. 適当に番号 をとって
が一次独立にすることができる.
と置くと
. 行列
を
と行ベクトル表示し,
とすれば
がわかる. 逆に 個の
次ベクトル
において
を
と行ベクトル表示したとき,
個の番号
をとることで
とできたとする. このとき
が一次独立になることを示す. スカラー
が
を満たすとする. と置くと, 上の条件は
と同値. よって
よって
.
だから
. 従って,
は一次独立. (証明終わり)
行列 の転置行列を
とおくと
が成り立つことに注意すると次の事実が従う.
命題4.
証明. 階数の定義その三から行列 の階数はいくつかのサイズの小行列式を計算することで得られる. 行列と転置行列の行列式は等しいので示したいことが得られる. (証明終わり)