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幅広く経験!そして素粒子研究とSLA活動に注力した先輩の話
2019/09/10

大野 敦
おおの あつし
理学研究科 物理学専攻
博士課程前期2年(専門:素粒子実験)
SLA物理担当(2015~2018)
今回は、卒業するSLAに大学生活をふり返って話をしてもらいました。 大野くんは、学部3年の後期から修士2年まで、物理担当SLAとして活動してくれました。 修士論文では「物理学専攻賞」を受賞した彼に、話を聞いてみましょう!

だいぶ前のことに思えるかもしれませんが…まずは大学生活の話から聞かせてください。
Q1. 大学に入った当初は、どんな感じでしたか?授業はどう受けていた?
初めての一人暮らしで、楽しみでしたが不安も少しありました。誰にも縛られない時間が沢山あって、どう使えばいいか迷いましたね。
また、大学は高校までと授業スタイルが変わったのを感じました。
授業については、全学教育で物理以外も学ばなきゃいけないんだ、というのが最初の印象でした。入学当初はガンガン物理を学ぼうと思っていたので。
でも先輩などの話を聞いているうちに、他のものも面白そうだと思って、せっかくだから幅広く授業を取ろうと思いました。
少し他の人と違うのは、2年生の時に経済学部の1年生向け専門の授業を履修してみたことです。
経済学部の友達の話を聞いて面白そうだなと思ったことと、3セメスターから青葉山に行くので、その前に何かできないかなと思ったことが理由です。
理系の自分にとっては高校数学のように感じられる部分も少しありましたが、需要と供給の話など、言われてみれば気づくけど、自分の知識としてはなかったことを教えてもらって面白かったなと思いました。
授業はどれもそれなりに興味がありました。わからなかったのがわかるというのが面白かったですし、先生が面白そうに話している授業は楽しかったです。
-文理を越えて、他学部の専門を取ってみたというのは行動力がありますね!
Q2. では、授業外ではどう生活していたのでしょうか?
中・高ではサッカーをやっていて、学部時代はサッカーのサークルで週2,3日活動していました。
大学院に入ってからは、フットサルを週1のペースでやっていました。
運動はすごい息抜きになりました。
また、海外に行きたいと思って、英会話サークルにも入りました。
見たことのない世界や写真などで見た場所などに行きたいなと思った時に、自分の英語力ではだめだなと思ったからです。
でも実際海外に行ってみると、旅行ではそんなにしっかりした英会話はいらなくて、ノリで行けるなと気づきました。
逆にインターンシップの時には英語力が役に立ったと思います。
-運動や英会話、かなりアクティブに過ごしていたんですね!
Q3. そんな大学生活を今ふり返ると、どのような移り変わりがあったのでしょうか?
大学1年生の時は、生活に慣れるのに必死でした。後期になるとある程度慣れてきて、自分の生活リズムもできてきたので、英会話もやり始めました。
2年生の時は「誘われたことは全部やる」と自分で決めてみました。かなり過密スケジュールになりましたが、おかげで自分のキャパシティーを把握できました。
処理できるスピードとか、余裕を持って行動できるスケジュール管理の仕方、これ以上タスクが増えるとどれかが雑になって迷惑かけてしまうな、というのがわかったということです。
それで3年生からは自分でやることを選んでいくようになりました。必要なことはもちろんやったうえで、やりたいことを優先していきました。SLAも3年の後期から始めました。
4年生からは研究室に所属したので、そのリズムを身につけていったという感じです。
-どうして「全部やる」と決めたの?
きっかけはよく覚えていないですね…。
でも色々やってみないと、楽しいか楽しくないかわからない。それにやったことないことに口出しするのはどうかなとも思ったので、まず経験してみようと思いました。
経験すれば、誰かに話すこともできるかなと。
―まずはやってみようというスタンスで、アクティブに過ごしていたわけですね。
新しいことには億劫になってしまいがちなこともあると思うので、見習いたい姿勢です!
さて、それでは研究の話にうつっていきましょう。
Q4. 研究テーマはどんなものでしたか?
僕は物理で、素粒子分野の実験系の研究室にいます。
自分の研究テーマは、軽い暗黒物質の探索に向けた超伝導検出器の研究開発です。
宇宙には暗黒物質というのが存在していると考えられています。それを探す手段として、今まであまり研究がなされていなかった、超伝導検出器というものに着目しました。
他の分野では適用されているのですが、暗黒物質探索というものに特化した超伝導検出器は、あまり研究や開発が行われていません。先行研究も多少ある程度だったので、それをやろうというのが大まかな枠組みです。
テーマは、自分が暗黒物質や素粒子、宇宙に興味があることを指導教官に伝えて、相談して決まりました。
―テーマは相談して決まったのですね。となると、研究室選びも大事になってきますよね。
Q5. 研究室はどうやって選びましたか?
自分が研究室選びで大事にしたのは、興味がある分野かどうかと、楽しそうかどうかということです。まず興味がある分野でいくつか選んで、その中から先輩の話を聞いたりして、研究室を決めました。
研究室の雰囲気やタイムスケジュールは、先輩に聞いたり、研究室見学に行ったり、先生と話したりしてなんとなくわかるのではないでしょうか。今の研究室は、先生が夢を語っていて、楽しく研究ができるのではないかと思いました。
また、そこの研究室には業績があって、多くの研究者や学生がいて、予算的にも恵まれていました。設備や環境面も研究には重要です。
自由度が高く、時間の縛りがなく研究が進められるのも大きなメリットだと感じました。
―自分の興味関心がもちろん大事だけど、雰囲気が合うかも大事。研究室選びだけではなく就活にもつながりそうな話でした。
それでは最後に、「SLA」のことについて聞いていきましょう。
Q6. SLAを始めたきっかけは?活動してみてどうだった?
大学生は家庭教師や塾など教育系のアルバイトをしている人が多いですが、自分はそれまでやっていませんでした。たまたま学内でSLAの募集を見かけて、軽い気持ちで応募してみたのがきっかけです。
実際に活動してみると、すごく個性的なメンバーが多くて楽しかったですね。1,2年生には1,2回ずつくらいしか対応しない、会わないことが多いですが、SLA同士だと毎週会います。そのなかで、音楽が好きな人とか趣味が広い人、幅広い知識を持っている人がいて、この人たちおもしろいな、と思いました。入ったばかりの学部3年生から見ると、マスターやドクターの人は色々な経験や知識があります。
4年生の時には物理部会の部会長をやりました。大変でしたがいい経験になりましたし、得られた新しい考え方は色々なところで生きていると思います。
質問対応をすると記録を書くんですが、それの訓練があったおかげで、自分の文章が伝わりやすくなったと思います。修士論文の時にも文章を書くのにあまり抵抗感がなくなりました。
質問対応をするうえで大事にしたことは、相手が楽しくなるように、自分自身も楽しめるように、ということです。雑談などをして、堅苦しくならないよう、雰囲気作りを重視していました。
―色々なメンバーとの関わりや、日々の活動を楽しんでくれていたようですね!
Q7. 最後に、SLAとして1・2年生にメッセージを!
まずは色々やってみてください。自分が楽しいと思うこと、やりたいことを全力でやってみたらいいと思います。で、楽しいことが学びだったらSLAを利用すればいいし、学び以外だったら、最低限の勉強のためにうまくSLAを利用してもらえればと思います。
自分がやりたいことだけやるのはもちろん問題だと思うので、勉強などやらなきゃいけないことにも最低限時間を割り振りながら、自分のやりたいことをやってみてください。
―大野くん、ありがとうございました!これからは社会人としての活躍をお祈りしています!
(インタビュー時:2019年3月)