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2016年7月8日

アカスキセミナー第6回 「誰でも書ける!わかりやすい文章の書き方」

みなさん、こんにちは。
今回は、アカデミックスキル入門セミナー第6回の概要をお伝えします。

「誰でも書ける!わかりやすい文章の書き方」

わかりやすい文章とは?
文章の「わかりやすさ」は、文章を書く目的や内容、
あるいはどのような読み手を想定するかにより変わります。
以下では、大学のレポートや報告書、意見文を書く場合に、
「一読して意味が通じる」「読み手に疑問を生じさせない」文章の書きを紹介します。

1 話し言葉と書き言葉

明治初期までの日本では、書き言葉には
古文や漢文で習うような古い文体が使われていました。
明治中期に、あまりにも煩雑な古文を廃止して、
「話すように書く」ことをめざす言文一致運動が行われました。

現在は、文章と口頭では言葉の選択や構文がやや違っています。
文章でわかりやすく伝えるためには、
「話すように書く」「思いついたことを思いついた順に書く」だけでなく、
考えたことを練り直す工程が必要です。

とはいえ、100点満点の文章を書ける文才がなくても、
ちょっとしたコツを覚えるだけで、わかりやすい文章は簡単に書けます!

2 文の基本は「主語+述語」
高校英語を思い出してみましょう。
英語の語順は「S+V+O」、日本語の語順は「S+O+V」
 「I study English」S+V+O
 「私は英語を勉強する+O+

「主語」(誰/何が)「述語」(どうした/どうである)は、
一文のなかで筆者の「主張」や「判断」を追うための骨格にあたります。
なるべく近くに置き、読み手に迷いを与えないようにしましょう。

たとえば、目的語が長くなると主語と述語の関係が見えにくくなります。
 (悪い例)「わたしはこのような事態に陥ったのは○○氏のとった対策が良くなかったためだと思う
  「+OOOOOOOOOOOOOOOOO+
一文が長くなったり、入れ子の構造になったりすると、非常に読みにくくなります。

このような場合は、主語と述語をなるべく近くにまとめましょう。
 (修正例)「筆者の考えでは、このような事態に陥ったのは○○氏のとった対策に問題があったためである。」

意見を述べる文では、「わたしは~と考える」の部分を省くこともあります。
(修正例)「このような事態に陥ったのは、○○氏のとった対策に問題があったためである。」
例) わたしは~だと思う→筆者の意見では/筆者の考えでは~
例) わたしは~だと思う→~である

ついでに、「副詞」と「述語」も近くにまとめましょう。
(悪い例)「彼は非常に古代中国の祭祀を熱心に研究している。」
(修正例)「彼は古代中国の祭祀を非常に熱心に研究している。」

会話の中では、「どの程度?」「どのように?」という成分が重要なため、
副詞は文頭に置かれる傾向があります。
(例)「必ず彼は遅れて来るに違いない。」 
(例)「すごく彼の話し方は面白い。」
しかし、文章では「何が?」「何について?」
述べているのか、迷いが生じないよう、副詞は修飾する動詞の直前に置きましょう

3 一文は短く切る(一文一義)

一文が長くなると、読み手は誰が?どうしたのか?という文の道筋をたどれず、
迷ってしまいます。

センテンスを短く切り、1つの内容は1つのセンテンスに収めましょう。
具体的には、長い1文を「主語+述語」(何がどうした)の塊に分解します。

(悪い例)個別指導の際、わたしが担当している科目である物理においてはまず、
授業の関わり方については、理学部物理系に所属の場合、
授業の内容を深く理解することが先のために必要となる。

この文は、2つの内容に分解できます。
 ・個別指導で、わたしは[主語]物理を担当している[述語]
 ・理学部物理系に所属の学生は[主語]、授業の内容を深く理解することが先のために必要となる[述語]

また、このように分解すると、
文意があいまいで内容がはっきりしない個所が見えてきます。
(例)「授業の内容を深く理解することが先のために必要となる」
← 授業とは何の授業? 教養科目の歴史学や体育も含む?
← 先のため とは具体的にいつのこと? 研究室に配属されたあと? 就職したあと?

(修正例)「わたしは個別指導で物理を担当している。
理学部物理系の学生にとって、物理関係の授業を深く理解することは、
今後の専門科目の理解に直結する。よって、個別指導の際には、
授業の内容を理解させることに重点をおいている。」

「誰/何が」+「どうした/どうである」を核にして文を組み直すことで、
簡潔で、論旨がわかりやすい文章を書くことができます。

まとめ
以上のようなコツを理解し、文章を練り直すことは、
自分の思考を整理しなおすことにもつながります。

最後に、文章を書いたら、必ずチェックしましょう。
人にチェックを頼んだり、音読したりするのも効果的です。
読み直すと、最初は気づかなかった問題も気づくことがあります。

また、SLAの窓口では、レポート以外でも文章の書き方相談やチェックをしているので、
ぜひ利用してみてくださいね。

お勧めの書籍
大野晋『日本語練習帳』岩波書店、1999年。
石井一成『ゼロからわかる大学生のためのレポート・論文の書き方』ナツメ社、2011年。

(SLA ライティング部会)

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